
約束手形を受け取ったものの、今すぐ現金化したいときってありますよね。
実は約束手形は、支払期日前でも現金に換えることが可能です。
中には即日で現金を手に入れられる手段も…
約束手形の現金化方法、それぞれのメリット・デメリットとは?
企業間の商取引で便利に使われる「約束手形」。
受け取ったものの、指定された支払期日より早く現金化したくなるケースは意外と少なくないものです。
ここでは基本となる約束手形の換金方法と、期日前に現金化するための手段を、それぞれのメリット・デメリットにも触れながら詳しくご紹介します。
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この記事でお伝えしたい3つのポイント
約束手形は、支払期日に銀行取立で換金するのが基本
支払期日前に現金化したいなら、手形割引や手形貸付という手段がある
売掛債権自体を売買する「ファクタリング」を利用するのも一手

ウルフさん~!
とにかく早く資金調達する必要があるんですけど、
今すぐできる現金化手段って何かないですか?!

約束手形を「手形割引」で現金化するほかに、
手形貸付やファクタリング、クレカ現金化なんかも使えるぞ!

なんですかそれ…
詳しく教えてください!
そもそも約束手形とは?有価証券の基礎知識

手形…って、約束手形のことで合ってますか?

今回話すのはその「約束手形」のほうだが、実は手形には2種類あるんだ。
ここではまず、そもそも約束手形とはどのようなものか、現金化の前提となる知識からご紹介していきます。
為替手形とは何が違う? 手形の種類と特徴
手形とは、商取引において現金決済の代わりに使用される有価証券のことです。
具体的には「誰が誰に対して、いつまでにいくらの支払いを約束する」という内容が記されたもので、その種類には「約束手形」と「為替手形」の2つがあります。
- 約束手形
お金を支払う側(振出人)が、受取人に対して発行。所定の期日までにその代金の支払いを約束する証書。 - 為替手形
商品の売買時に仲介業者が入った場合など、3社間の取引で使われる証書。たとえば「A社→B社→C社」のような形で商品が受け渡しされたとき、「C社が直接A社へこの日までに代金を支払う」という手形をB社がA社へ発行することによって、資金の流れを単純化する。
日本ではひとつめの「約束手形」が主に使用されるため、単に「手形」と言った場合は約束手形を指していることがほとんどです。
手形の発行により、支払う側には実際の決済を後払いにできるメリットがあります。しかし万が一期日までに支払いが行われなければその手形は「不渡り」となり、会社としての信用を失うことに。
今後銀行取引ができなくなるなど、経営の存続が難しい非常に不利な状況へと立たされるかもしれません。
手形とは、両者の信用によって成り立つ後払い決済手段だということですね。
約束手形と小切手の違いは?
決済に使用される証書には約束手形のほかに「小切手」もありますが、両者のもっとも大きな違いは現金化できるタイミングにあります。
小切手と手形は、振出など多くの点で共通していますが、違いもいくつかあります。最も大きな違いが、小切手は、受取った人がすぐにそれを現金化することができるのに対し、手形の場合は、原則として支払期日にならないと現金化することができないという点です。
引用元:一般社団法人 全国銀行協会「手形・小切手 基本のキホン」
小切手はそれを受け取った時点で換金することが可能な証書であるため、発行する側は小切手を振り出した時点でその額面分の資金を当座預金に用意しておかなければなりません。
一方で約束手形は実際の決済タイミングを後ろ倒しするものですから、期日までに現金を用意できれば問題なく取引が成立するというわけです。
一般的に、発行する側(支払う側)にとっては後払いできる手形のほうがメリットが大きく、受け取る側にとってはすぐに現金化できる小切手のほうが嬉しい、という考え方ができるでしょう。

小切手なら受け取った瞬間に現金へ換えられるんですね!

手形のほうは、「この日まで支払いを待ってください」という感じだな。
約束手形の換金方法は「銀行取立」が基本!
では、受け取った約束手形はどうすれば現金へ換えることができるのでしょうか?
続いて、約束手形を現金化する基本の方法についてご紹介します。
銀行取立による、期日当日の手続き方法

銀行に取り立てて貰えるんですね~!

ただ、受け取る際には一定の手数料を支払う必要があるぞ!
支払期日を迎えた約束手形は、「銀行取立」により現金へ換えることができます。
銀行取立とは、代金を受け取る側が自分の取引銀行へ「手形交換」を依頼することにより、相手の口座からの引き落としと、自身の口座への入金までを代行してもらう手続きのこと。
支払期日を含む3営業日以内に銀行へ約束手形を持参し、換金を申請しましょう。
銀行側へ「代金取立手数料」を支払う必要はあるものの、約束手形の額面は満額受け取ることが可能です。
【遅い?】銀行取立による資金化までに必要な日数の目安
銀行取立で約束手形の現金化を行う際、実際に口座へ現金が振り込まれるまでには一般的に3営業日ほどの日数がかかります。
加えて、手形を持ち込んだ取引銀行が手形を発行した“振り出し銀行”とは異なる場合、手続きのためさらに数日を要することになるでしょう。
「取引銀行→手形交換所→振り出し銀行」という流れで約束手形が発行元である銀行まで送られ、そこで引き落としなどの手続きが実行されるためです。
ちなみに、手形交換所を経由する場合には、手続きにかかる日数分、支払期日よりも前に換金を依頼しておかなければなりません。
もし自身の取引銀行が手形の振り出し銀行とは異なるなら、支払期日に対していつまでに手続きを依頼すればよいのか、あらかじめ確認しておくようにしてくださいね。

銀行取立で実際に現金が手に入るまでには、
ある程度の日数がかかるから注意しろよ!

即日の現金化は難しいってことですね…
期日前に現金化するには?3つの方法とそれぞれのメリットデメリット

今すぐ現金が必要なんですが、
約束手形を期日前に現金化することはできないんですか?!

実は、いくつかの方法で手形は期日前換金できるんだ!
やり方を解説するぞ。
約束手形を現金化するには支払期日を待って銀行で手続きすることになりますが、実はその期日を待たずに今すぐ換金する手段も複数存在します。
手持ちの約束手形を、支払期日前に現金化する方法は以下の3つです。
それぞれ、仕組みや利用時のメリット・デメリットを詳しくご紹介しましょう。
銀行で「手形割引」を行う

「手形割引」って何ですか?
何かの割引サービス…?

利息分に相当する手数料を支払って、
期日前に手形を現金化してもらう手続きのことだ!
支払期日前に約束手形を現金化する方法としてもっとも一般的なのは、銀行で行う「手形割引」の手続きです。
手形割引とは、支払期日までの日数分の利息を「手形割引料」という形の手数料で支払うことにより、約束手形を期日よりも早く現金化できる仕組みのこと。
手形の額面から手数料を引かれるため満額受け取れなくなるというデメリットがありますが、一方で他の期日前換金手段と比較すると差し引かれる金額はそれほど多くない、という点はメリットでしょう。
どうしても期日より前に現金が必要なとき、できる限り少ない負担で安心して現金化したいなら有力な選択肢になりますね。
ただし、銀行による手形割引は必ず利用できるわけではなく、依頼人の信用を見極める審査を受ける必要があります。
決算書や納税証明書の提出を求められることもあるなど手続きが若干煩雑なので、抵抗がある方は別の現金化方法を検討してもよいかもしれません。
銀行による手形割引のメリット |
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銀行による手形割引のデメリット |
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手形割引専門業者を利用する

手形割引は銀行じゃなくてもできるんですね!

専門業者なら、厳しい審査をパスしなくても現金化できるぞ!
手形割引の手続きを、銀行ではなく専門業者に依頼することで現金化する方法もあります。
手形割引専門業者を利用するメリットは、なんといっても「審査の手軽さ」と「振込の早さ」。
割引を依頼する人の信用も重視する銀行とは異なり、手形割引専門業者は基本的に約束手形を発行した「手形振出人」の信用を重視するためです。
業者によっては即日振込に対応していることもあるので、「今日現金が必要」など特に急ぎの場合は専門業者の利用を検討してみてもよいかもしれません。
ただし、その金利は銀行より高くなる点はデメリットとして覚えておきましょう。
金利が高い=約束手形の額面から引かれる手数料の金額が高くなるということですので、その分受け取れる現金の総額は少なくなります。
業者による手形割引のメリット |
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業者による手形割引のデメリット |
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「手形貸付」でお金を借りる

約束手形を担保にお金を借りることもできるんですね!

担保がある分、審査項目は少なくなるのがメリットだな!
手形貸付とは、約束手形を担保に取引銀行から現金を貸し付けてもらう手続きのこと。
同じ融資である「手形割引」との違いは、自身が約束手形の振出人(発行元)になる、という点にあります。
つまり今持っている約束手形を直接現金に換えるのではなく、銀行に対して返済期日を定めた約束手形を新たに発行することによって現金を貸し付けてもらう、という考え方です。
たとえば「手元に1か月後が支払期限の約束手形があるものの、今現金が必要」というケースで、1か月以上先の返済期限を定めた約束手形を銀行へ発行しお金を借りれば、1か月後に現金が手に入ったとき、それを銀行への支払いに充てることができますよね。
手形割引と同じく必ず審査に通るとは限りませんが、約束手形という担保があるためビジネスローンなどと比較すると審査項目は少なく、スピーディに手続きを終えられるのがこの手形貸付を利用する大きなメリットだと言えるでしょう。
ただし、自身が約束手形の振出人になるため、万が一期日までに支払いを終えられなければその手形は「不渡り」となる点には注意が必要です。
半年以内に2度不渡りを出すと倒産に直結する“銀行取引停止処分”を受けることになりますので、無理のない計画的な利用が求められます。
手形貸付のメリット |
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手形貸付のデメリット |
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損失を抑える!約束手形を現金化する際の注意点
どんな方法で約束手形を現金化するとしても、できる限り損をしないためには知っておくべきルールがいくつかあります。
ここからは、手形換金時には特に気を付けたい注意点を、3つピックアップしてご説明しましょう。
約束手形には「不渡り」のリスクがある

期日前に現金化しても、その後約束手形が不渡りになったら
その分を受取人が返済しなければならないんだ!

ええ?!現金化したあとも、
無事引き落とされるまで安心はできないんですね…
特に手形を期日前に現金化するとき知っておきたいのは、受取人の「償還義務」についてです。
約束手形の支払期日に代金が引き落とせないことを「不渡り」と言いますが、たとえば手形割引を使って期日前に手形を現金化していたとき、後にその手形が不渡りとなれば、受取人に償還義務が発生します。
つまり、手形割引を利用した銀行や専門業者に対して、その手形分の代金を受取人が支払わなければならなくなる、ということ。
たとえ手数料を引かれた“額面より少ない額”を先に受け取っていたとしても、もし不渡りが出てしまったら、銀行や専門業者には“額面通りの金額”を返還しなければならないのです。
トラブル回避のためには、「そもそも信用できない企業とは約束手形で取引を行わない」などの方法で自衛するしかありません。
支払期日を過ぎた約束手形は、銀行での取り立てができない

約束手形の支払期日までに現金化するのを忘れてしまったんです…。
これってどうなりますか?

面倒だが、自分でなんとか取り立てるしかないな…
約束手形を銀行取立により換金できる期間(呈示期間)は、銀行の営業日換算で「支払期日の当日、翌日、翌々日の3日間」と定められています。
銀行取立など現金化のための手続きを行わないままこの期間を過ぎてしまった場合、その手形はすべての金融機関で換金することができなくなるため、自力で取り立てを行う必要がある点に注意しましょう。
手形債務が消滅する時効は3年間ですから、呈示期間が過ぎたからといって即代金を回収する権利を失うわけではありません。
ただ、その後あらためて直接請求を行うのは相手側にも事務手続きの負担をかけてしまうことになります。
企業間でトラブルになるのを避けるためにも、支払期日が過ぎる前の現金化手続きは必須だと覚えておいてください。
もし不安なら、取引銀行にあらかじめ約束手形を預けておくという方法も有効です。
支払期日が先であるほど受け取れる現金の額は安くなる

現金化するタイミングが支払期日より早ければ早いほど、
受け取れる現金の額は少なくなるぞ!

現金が必要になるギリギリのタイミングまで待った方がいいんですね!
手形割引を行う際には約束手形の額面から割引料などの手数料が引かれることになりますが、この手数料は「融資にかかる利子」という取り扱いです。
つまり、返済日となる手形の支払期日までの日数が長ければ長いほど手数料は高くなり、受け取れる現金の額は少なくなると覚えておきましょう。
実際にいくら手数料がかかるのかは、以下の計算式で求めることができます。
期日前の現金化が必要な場合でも、そのタイミングをできる限り遅らせたほうが手数料分の損失は少なくなるということですね。
売掛債権を買い取ってもらう「ファクタリング」という選択肢も

手形割引の審査に通らなかったんですけど、
これだともう期日前の現金化は無理ですか…?

諦めるのはまだ早いぞ!
売掛債権自体を買い取ってもらう
「ファクタリング」って選択肢もあるんだ!
約束手形を期日前に現金化したいのに手形割引の審査で断られてしまった場合、ファクタリングというサービスが使えるかもしれません。
ここからはそのファクタリングについて、詳しい仕組みや利用するメリット・デメリットをお伝えします。
手形割引とファクタリングの違いは「融資か買取か」
ファクタリングとは、自社が持っている売掛債権自体を、ファクタリング業者に現金で買い取ってもらう仕組みのことです。
手形割引による約束手形の現金化は「支払期日にその額面の金額を返済する」という前提で行われる“融資”ですが、ファクタリングは「売上を回収する権利」そのものを売却する、という点に両者の違いがあります。
手形割引と同じく利用には審査があるものの、受取人側の信用ではなく売掛債権自体の信頼性が重視されるため、手形割引の審査に落ちてしまった場合でも利用できるかもしれません。
ファクタリングを利用するメリット・デメリット
手形割引と比較したファクタリングのメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。
ファクタリングのメリット |
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ファクタリングのデメリット |
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もっとも大きなメリットとなるのは、ファクタリング業者の審査にさえ通れば、仮にこの先取引先が不渡りや未払いを起こしたとしても、受取人側がそれを代わりに支払う義務はないという点でしょう。
「融資ではなく買取」という特徴がここに表れているというわけですね。
今すぐ現金が必要というケース以外にも、たとえば支払期日が何か月も先で、その間に何があるかわからず不安…というケースなどで、多少高めに手数料を支払ったとしても売り上げを現金に換えておく、といった使い方ができます。

ファクタリング、検討する価値はありそうですね!

不安なら、一度申し込みだけしてみるのもおすすめだ!
資金調達には「クレジットカードの現金化」も検討を!

約束手形を現金化する以外に、
すぐ現金を確保する方法ってありませんか?

それなら、クレジットカードの現金化を検討するといいぞ!
もし会社の資金繰りが厳しいなら、約束手形や売掛債権を現金化する以外に、事業用のクレジットカードを使って現金を手に入れる方法もあります。
専門業者による「クレジットカード現金化」サービスを使えば、クレジットカードのショッピング枠で現金を買うようなイメージで、簡単にまとまった即金を用意することができますよ。
信頼できるおすすめの現金化業者を厳選してご紹介しますので、事業資金を集める選択肢のひとつとしてぜひ検討してみてください。
まとめ:約束手形の即日現金化なら、手形割引業者の利用が◎
約束手形は支払期日に銀行取立で換金するのが基本ですが、「手形割引」など支払期日より前に現金化する方法もあります。
とにかく早く現金が必要なら、審査や手続きがスピーディな手形割引専門業者の利用を検討してみるのがよいでしょう。
また、売掛債権自体を売却してしまう「ファクタリング」という選択肢も、状況によっては約束手形の現金化よりメリットが大きいかもしれません。
手数料や審査項目、手続きのスピード感などを勘案し、いまの自社に合った現金化方法を検討するようにしてくださいね。

結局専門の業者に頼むのが一番よさそう!早速試してみます!

メリット・デメリットをしっかり理解した上で実践してくれよな!